【考えるヒント・今日の言霊】5000号応援言霊キャンペーン実施中④

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【考えるヒント・今日の言霊】5000号応援言霊キャンペーン実施中④

教育分野における中土井の「20歳代のヒーロー」

8月5日(水)に弊社代表中土井が書くメルマガ【考えるヒント・今日の言霊】が5000号を迎えます。
この5000号を目前にして、【考えるヒント・今日の言霊】のエピソードやバックナンバーをご紹介しています。
今回は4回目です。

 中土井が20歳代に大きな影響を受けた思想家や教育者。そんな中土井の「20歳代のヒーロー」は何人かいますが、教育の分野で大きな影響を受けたのが、イバン・イリイチとパウロ・フレイレです。

 イバン・イリイチはウィーン生まれの思想家(1926-2002)です。もともとはカトリックの司祭として活動していましたが、1969年にバチカンとの衝突により還俗し、以後、教育・医療・交通・エネルギーなどの諸分野で近代文明批判を繰り広げました。彼の「脱学校論」は、余りにも有名です。
イバン・イリイチは2002年12月2日にその生涯を閉じました。その8日後、【考えるヒント・今日の言霊】で、中土井は追悼文の体裁をとって彼への謝辞を述べています。

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【考えるヒント・今日の言霊】
 2002年12月10日(火)
VOL.34   作者:中土井鉄信

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 今日の言霊:イバン・イリイチ
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教育は、お互いにその独立を認め合った個人間の相互行為のなかから生まれるのではなく、体制が個々人に加える圧力から生まれてくるものなのだ。          
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■ 考えるヒント
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◇イバン・イリイチが亡くなった。私は彼によって学校や教育についての相対的な視点を持つことが出来るようになった。彼の学恩に少しでも報いたいと思ってやってきたが、残念でならない。合掌。

◇教師を目指していた私にとって、学校や教育は善そのものだった。しかし、非行少年を追うにしたがって、学校や教育というものに、クエスチョンマークが、点灯するようになった。

◇学校が彼らを追い詰め、彼らは学校の文化そのものに反発をしていた。彼らを知れば知るほど、悩み多き存在なのだ。その彼らを救うことが学校には出来ないのか。そういう疑問が若かった私の中で渦巻いていた。そのころ、彼の「非学校化社会」やパウロ・フレイレの著作を必死に読み、学校や教育について蒙昧(もうまい)を啓(ひら)いていった。

そして20年が経ったが、まだまだ発展途上である。

◇この言霊から昨今のゆとり教育を考えてみると、現状の教育の混乱がどうして起こるのかが見えてくる。言霊にあるように、教育には社会的な圧力が備わっている。しかし、ゆとり教育は、その圧力を減じる方向性を打ち出すのだ。が、しかし、私が他のメルマガ「教育記事から教育を考える」で書いているように、学校は色々な手を打って、その社会的圧力を保持しようと頑張るのである。

◇学校や教育の本質の中に社会的な圧力が備わっているから、どうあがいてみても圧力的なことを生み出してしまうのだ。

◇今日の言霊が、教えてくれることは、一般に信じられている善なるものを相対化の視点で眺めてみようということだ。当たり前に流れる現実を一旦括弧に入れて、眺めてみれば、今まで見えなかった本質が見えてくる。

◇少なくとも今から20年前、イバン・イリイチは、私にそのことをはっきりと教えてくれた。


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さて、もう一人の「20歳代のヒーロー」であるパウロ・フレイレは、ブラジル北東部に生まれた教育者、教育思想家(1921-1997)です。

彼は貧困層の「意識化」を目的とした識字教育法を1950年代後半から実践しました。しかし、1964年のクーデター政権に危険視されて逮捕。その後16年間は、ボリビア、チリ、ジュネーブなどで長い亡命生活を送ります。この亡命中に書かれたのが、教育学の名著として知られる『被抑圧者の教育学』です。1982年にブラジルに帰国。その後、サン・パウロ市の教育長として公教育改革に取り組みました。抑圧されてきた人々に文字を教える識字教育を実践し、そうした人々のための教育とはどうあるべきなのか、という問いを深め、教育のみならず、政治体制、社会の在り方ににまで衝撃を与えた思想家でした。

中土井は、「イバン・イリイチでぶちのめされた教育に対する希望をもう一度、(パウロ・フレイレ)に与えられたと書いています。
人間社会をさらにより良くするために、人生をさらに幸福にするために教育の果たすべき可能性を示唆してたくれたのが、パウロ・フレイレだったのです。


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【考えるヒント・今日の言霊】
 2016年7月13日(水)
VOL.4001   作者:中土井鉄信

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 今日の言霊:パウロ・フレイレ
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自分自身を解放し、同様に抑圧者をも解放すること、したがってこれが、被抑圧者の偉大な人間的歴史的課題である。         
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 考えるヒント
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◇今から30数年前、大学の授業でパウロ・フレイレの考えを聞き、また彼の主著である「被抑圧者の教育学」に触れて、イバン・イリイチでぶちのめされた教育に対する希望をもう一度与えられた。今まで教育のフィールドにいるのは、彼のお蔭かもしれない。

◇パウロ・フレイレは、ブラジルの成人識字教育家として、文字を奪われた人々に日常世界を言語化することで言葉を教え、世界を認識させる実践を行った。彼の実践から、私は言葉を知るということは、人間の意識化なのだと理解した。

◇さて、今日の言霊だが、彼は、教育の最大の目的を、人間の関係性の中にある抑圧―被抑圧の関係を解消することだと考えている。自分自身が自分自身になるために、教育がある。そして、それは、自己と他者の関係でもあるのだ。その時、抑圧ー被抑圧という関係が、解消されない限り、誰も自分自身にはなれない。なぜならば、人間は、自由で対等な存在だからだ。そのために教育があるのだ。

◇私たちは、教育をもう一度、人間と人間の関係性で見ていくことが必要だ。昨今の学力問題として教育を見るのではなく、人間と人間の関係構築の能力として、教育がどういう力を発揮するか考えるべき時だ。今こそ、教育を人間の成長の源に据えることだ。
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今日、取り上げた2本の言霊は、教育関係に従事する方、これから教育関係を目指す方に、ぜひ、一読いただきたい文章です。